あらすじ
「お帰りなさいませ、ご主人様」
その日、出版社の営業部に勤める葉鳥が、疲れた身体でアパートに戻ると、燕尾服を纏った美貌の男が恭しく彼を出迎えた。驚く葉鳥に男は九識と名乗り、存在も知らなかった遠縁である大富豪の遺言状を彼に手渡す。
そこには、執事である九識を遺産として葉鳥に相続させる旨が書かれていて……。
独り暮らしの狭いワンルームには不釣り合いな謎めいた執事に甘やかされ、淫らな悪戯で翻弄される日々に、初めは戸惑っていた葉鳥だったけれど──!?
著者オススメシーン
ロフトで、困惑する葉鳥に急接近する九識の生真面目な表情にハートを撃ち抜かれました。
高崎先生、本当にありがとうございました!
『僕の愛する執事へ』に関する質問です。
1月31日にSHY NOVELS『僕の愛する執事へ』が発売になります。秀先生にとってはSHY NOVELS初のノベルスとなりますが、今の率直な気持ちを教えてください。
緊張していますが、とても嬉しいです。書かせて頂けて光栄です。
タイトルにもあるように、今作は執事が登場します。ワンルームの一人暮らしの部屋に家主のほかに執事が一人、という異様な組み合わせのお話はどのようにして生まれたのでしょうか?
私が一人暮らしを始めた頃、やっぱりワンルームでした。「あの狭い空間に愛情マックスのお世話係がいたら面倒そうだけど楽しそうだな」といろいろ考えて、この話に繋がりました。いつも、現実でもよくありそうな風景(会社とかお店とか)を舞台の中心に据えることが多いです。ベースは至って基本なんだけれど、一人だけなにかとんでもなくズレている人がいる、というシチュエーションは考えていて楽しいです。
主人公である葉鳥は出版社営業をしています。秀先生にとっても縁のある職業かと思いますが、なぜこの職業を選ばれたのですか?
長いこと雑誌の編集部で仕事をしていたのが一番大きいかなと……。とても身近な業界なので書きやすいです。広告や営業経験も少しだけあるので、「自分たちが作った本を一人でも多くの人に楽しんでもらえたら」という気持ちは、たぶんずっと抱えていくものだと思います。
今作には魅力的でかつ個性の強い男性がたくさん出てきます! 秀先生はキャラクター作りをされるときに気をつかう部分はありますか? また、どのようなときにキャラクターは生まれるのでしょうか?
魅力的に感じて頂けたら本当に嬉しいです。今作でいえば、執事である九識の喋り方については、担当さんと一緒に最後までかなり手を入れました。あり得ないほどに丁寧なのに愛情が溢れ出して止まらない九識はもちろん、どのキャラがどういったことを喋ればより自然でそのキャラらしく際立つか、原稿中はずっと考えています。散歩のときやお風呂でのんびりしているときに、ふっと浮かぶこともあります。
ご執筆中に楽しかったことや、苦労されたことがありましたら教えてください。
高崎ぼすこ先生からキャララフをいただいたとき、びっくりするほど細かく九識や葉鳥の服装にこだわってくださってテンションが上がりました。ラフの隅に描かれた、葉鳥の濡れた頭をバスタオルで拭いてやる九識がとても可愛くて格好良かったです!
カミさんこと神成と、二次元萌えな瀬ノ尾の同級生コンビもとても気になりました! このふたりについてはその後の展開などあるのでしょうか?
腐れ縁の二人が、大人になって仕事を挟んでガチでぶつかりつつ、友情以上のなにかを育むとよいなーとちょっと思います。二次元萌えの鬼である瀬ノ尾をどうすれば現実の恋に振り向かせられるのか、想像すると結構楽しいです。
世間とは少しズレたところのある九識ですが、そこが魅力でもあると思います! もしも、秀先生の前にある日突然、執事が現れたらどうしますか? また秀先生の理想の執事像がありましたら教えてください。
自分の前に現れたら丁寧にお引き取り頂くと思います(笑)。理想の執事は、やっぱり、裏と表の顔があることでしょうか。あと、なにがあってもご主人様命、ご主人様一番でいてほしいです。
『僕の愛する執事へ』の中で、読者のみなさまにぜひ注目していただきたいポイントを教えてください。
私が言うまでもないのですが、表紙からクールな色気を放つ高崎先生の挿絵の数々をどうぞ楽しんでくださいませ! 口絵は必見の色っぽさです。どれも素敵なのですが、個人的には、3枚目とラストのイラストが二人の微妙な距離感と温もりを感じさせてくれて、とても好きです。
秀先生ご本人に関する質問です。
ペンネームの由来を教えてください。
尊敬している人から「秀」の一文字をもらいました。この文字だけで満足しています。
小説を書き始めたきっかけを教えてください。また、一番最初に書かれたのはどんな物語だったのでしょうか?
小さい頃から運動が苦手で、ほかに取り柄もなかったので、休み時間はずっと本を読んでいました。小学二年生頃に、ノートに続き物の話を書き、クラス内の子に見せたら喜んでもらえたのが嬉しかった……というのが今に繋がっていると思います。「誘拐されたまりこ」というタイトルのなんちゃってサスペンスでした。
今までで特に影響を受けた作品(小説、映画、音楽などなんでも)がありましたら教えてください。
好きな小説、音楽は数えきれません。
好きな映画もたくさんあるのですが、とりわけ「2001年宇宙の旅」、「L.Aコンフィデンシャル」や「ゴッドファーザー」、「ダークナイト」が好きです。
お仕事中にこれだけは欠かせない、というものはありますか?
音楽。
秀先生の一番好きな攻・受のタイプ、シチュエーションを教えてください。
わんこ×ツンデレが一番好きです。
切っても切れない絆や、仕事を挟んでバトるシチュだとなお萌えます。
作中で『萌え』について葉鳥たちは真剣に悩んでいましたが、秀先生にとって『萌え』とはなにか教えてください。
癒やしかなと思います。なくても過ごせるだろうけれど、あったほうが毎日より楽しいです。
最後に、読者のみなさまへメッセージをお願いいたします。
SHYさんでは、はじめましてこんにちは。高崎先生の美麗なイラストとともに、豪邸のお坊ちゃまに仕える執事ではなく、狭苦しい部屋に住む一介のサラリーマンである葉鳥に尽くす九識の愛情と、ちぐはぐなやり取りを楽しんで頂ければ幸いです。