コミックス『IN THE APARTMENT』はじめ、作品に対しての質問です。
5月31日にご自身初のコミックス『IN THE APARTMENT』が発売となります。今の率直なお気持ちをお聞かせください。
本当に率直な気持ちを述べますと、「もう描き直しができない…」ということです。笑
気づかないうちに絵が変わっていっちゃうので、およそ1年前の原稿は恥ずかしくて薄目で見てました。
ですがコミックスを出していただけて、とても嬉しいです!
まずカバーにとても惹かれました! 表から裏にかけて大胆に描かれたアパートの外観に、杉本と妹尾の日常が自然に描かれていて素敵です。コミックス化が決定したときからこの構図を考えられていたのでしょうか?
ありがとうございます! 構図はギリギリまで迷っていました。
背景はアパートにしようと思っていたのですが、人物の大きさで悩んでいました。
全身をいれたら顔が見えにくいかな…とか、でもアップにすると、背景がいれづらくなるな…とか。
最終的にはデザイナー様のトリミングのおかげで、絶妙な大きさにしていただけました。
今作は元同級生のふたりが同じアパートで再会するところから始まります。このお話はどのようにして生まれたのか教えてください。
きっかけは「暗い話を描いてみよう」でした。
それぞれのキャラクターに悩みや葛藤がある部分を強めに描こうと考えて、肉付けをしていった感じなのですが…
元同級生という設定にしたのは何でだったのか忘れました。笑
メインキャラクターの杉本と妹尾は、それぞれ胸の裡に抱えているものがあります。序盤のコミカルなテンションから中盤、終盤にかけての展開はとても引き込まれました。ご執筆中、意識されたことや気を付けていたことはありますか?
終盤あたりは特に、描きたい内容が頭の中に散らばって、どう組み立てていけばいいのか、正直まったく分からなくなっていました。
ですが、いくつかのシーンは最初から「描きたい!」と温めてきたものだったりするので、紙に起承転結を書き分けたり、脚本のようにセリフとシーンの説明を書いた細かめのプロット(のようなもの?)をたてたり、普段しないことを何度もしました。
何より、より分かりやすく描くために、読者様目線のアドバイスをたくさん担当様にいただいたことも大きかったです。
あとは、ついセリフが多くなってしまっていたので、文字ばかりの訴えはくどいかも、とコミックスでは削ぎ落とした部分も結構あります。
毎日ちょっとずつアレンジの違う杉本の髪型がかっこよかったです。絵津鼓先生の描かれる男性はおしゃれなひとが多いですが、普段から街行くおしゃれ男子をチェックされているのでしょうか?
え!? …お、おしゃれなひと、描けているのでしょうか…?
普段は男性より、街行くおしゃれ女子に目がいきます。単なる羨望のまなざしで見ています。
男性の服装は、専らメンズ雑誌で勉強させていただいてます。
作中、登場キャラクターは関西弁を使っています。絵津鼓先生が関西出身なのでしょうか? また関西弁に限らず方言の魅力とはなんだと思いますか?
関西出身です。でも、神戸あたりでの生活が長かったので、ひとくちに関西弁と言っても、大阪弁とちょっとニュアンスが違っていたり…。
なのでキャラクターの話す関西弁も「こんなん大阪弁とちゃう!」と思われるところがあるかと思いますが、播州弁も混じったりする神戸弁(?)ということでご勘弁ください。
どこの方言も大好きで、特に女の子が言う「めんこい」とか「~けぇ」とか、可愛くてお気に入りです。
見た目とのギャップやアンバランスさがあるとより引き立つのが方言の魅力かなと思います。
…が、方言でいきなりその人のプライベートを垣間見た感覚になることが一番魅力かも。
本編に納めきれなかったエピソードや、製作中の秘話などありましたらぜひ教えてください!
納めきれなかったエピソードを書こうと思ったのですが、思いっきり本編のネタバレになりそうだったので秘密にしておきます…。笑
『IN THE APARTMENT』を読者のみなさまに読んでいただく上で、注目していただきたいポイントを教えてください。
どんな人でも生きていく中で、合う相手、合わない相手がいると思うのですが、合わない相手に負の感情でシャットアウトするのではなく、自分の気の持ち方次第で良い関係に変えられるのでは、ということを考えて描きました。
杉本と妹尾がそれぞれ、葛藤しつつ成長しようとする姿を見ていただけたらと思います。
『IN THE APARTMENT』と同日発売の雑誌『ihr HertZ 7月号』では絵津鼓先生の新連載『ラストフライデイ』がスタートします! こちらはどのようなお話になるのか、ネタバレにならない程度でぜひご紹介ください。
『IN THE APARTMENT』は私の中でのカテゴライズが「暗い話」なので、次は「明るい話」のつもりです。
上記の質問で述べたようなちょっと真面目なテーマはなく(笑)、チャラ男と童貞男の、恋愛メインの話の予定です。
絵津鼓先生ご本人に関する質問です。
PNの由来を教えてください。
絵を描くのが好きなので「絵」、占いで水に関するものが良いと言われたのでさんずいのついている「津」、音楽も好きなのでドラムの「鼓」で、絵津鼓です。
漫画を描き始めたきっかけはなんですか?
物心ついた時には絵を描いていたのですが、漫画にシフトしたきっかけは…なんだっけ…。
漫画を描く上で影響を受けたり、リスペクトしているもの(作家様、本、音楽、映画などなんでも)はありますか? 理由もあわせて教えてください。
本を読むのも映画を観るのも大好きなので、ネームを考える時点ではとにかく本や映画で情報を得ます。出会えたすべての作品に、少なからず影響を受けていると思います。
絵津鼓先生の好きなカップリングやシチェーションはなんですか? またそのどんなところに萌えを感じますか?
同級生に萌えます。
部活が一緒とか、帰り道が一緒とか、席が近いとか、自然とコイツといる、という関係性はいいなぁと思います。あと青春っぽさ!
ご執筆中のリフレッシュ方法はなんですか?
ストレッチと歯磨きと、外の空気を吸うことです!
最後に、読者のみなさまにメッセージをお願いします。
せっかくのインタビューに、たいして面白い回答ができていない有様ですが、ここまで見てくださりありがとうございます!
コミックスと新連載、少しでも楽しんでいただけますように。