『ルーデンドルフ公と森の獣』に関する質問です。
12月26日にSHY NOVELS『ルーデンドルフ公と森の獣』が発売になります。
今作がSHY NOVELS初登場ですが、今の率直な気持ちを教えてください。
SHYさんの本は漫画もノベルズも、いつも装丁がシンプルなのにすっきりと綺麗だなと思ってましたので、自分の本も素敵なデザインに仕上げて頂けて嬉しいです。あとは、読んで頂いた方にちゃんと楽しんで頂けるといいなぁというものです。
今作は旧蜂ヶ谷伯爵邸の所有者であるドイツ人のルーデンドルフ公ことユリアンと、屋敷調査に訪れた藤森賢士のお話です。
このふたりはどのようにして生まれたキャラクターでしょうか?
以前、書いた童話や寓話をイメージした話がけっこう評判をいただいたそうなので、今回もその路線を踏襲しています。
あと、挿絵の周防佑未先生のイラストには中世ゴシック風の衣装が似合うんじゃないか…、森の奥の屋敷に閉じこもっているブラックさのある王子様タイプで…、そんなことからユリアンのイメージを起こしました。
藤森は当初は美女と野獣や、青髯なんかのお伽噺をイメージしていたので、好奇心が強くて頭のいいしっかり者。さらには、現代物でも、そんな閉鎖された屋敷に長期間やってきて不自然さのない肩書きということで、オーバードクターとなっています。
ドイツ人の個性がとても表現された作品だと思います。
国外やファンタジー作品をご執筆するにあたり苦労することや、楽しいことがありましたら教えてください。
国外やファンタジーってレーベルによってははねられてしまうことが多いので、逆に色々はっちゃけちゃって、趣味に走っていることが多いです。そんな時には、全開で楽しいです。今回も楽しかったです。
ネタバレになるので言えませんが、あとがきを拝見しますと今作はお書きになりたいテーマがあったとのこと。
お話を生み出すにあたって、そのような「ネタ」を見つけるのは大事かと思いますが、普段どのようなところから着想を得られますか?
だいたいは最初に、担当さんにどんなタイプの話がいいか、あるいはお題などがあるかをお伺いします。
さらにイラストレーターさんがあらかじめ決まっている場合は、自分の個人的なイメージですがそのイラストレーターさんに似合うんじゃないかという設定や衣装を考えます。
そこに自分のマニアックな趣味を突っ込んで、キャラやプロットを組み上げてゆきます。最近はそんな風に、ある程度主題や方向性が決まっていた方が燃えるし、テーマやネタも見つけやすいです。
旧蜂ヶ谷伯爵邸にはユリアンをはじめ個性的な面々が揃っています。
今作は登場人物も多かったと思いますが、かわい先生がキャラクターを作られる際、注意していることを教えてください。
むしろ、今回は閉鎖空間なので少なかったかと思ってました(笑)。
キャラクターは、話し方や容姿が明確で、目の前で実際に動いて話しているように思って頂けること…かな?
あと、キャラが立たないと話が動かないので、キャラ立てにはかなり力を入れてます。
作中に出てきたルーデンドルフ家に伝わる言い伝えがとてもすてきでした。かわい先生は信じている言い伝えや、気になる言い伝えはありますか?
昔はそれほど意識しなかったのですが、「笑う門には福来たる」って、本当じゃないかなって思います。何事もポジティブに捉えられることって、大事ですよね。
ご執筆中、削ってしまったエピソードや作中では明かされていない裏設定などがありましたらぜひ教えてください。
二匹の猫は、これまでも度々、ユリアンのような存在にまつわって、どこかしらから生まれてきた闇キャラじゃないかなと思ってます。
『ルーデンドルフ公と森の獣』の中で、読者のみなさまにぜひ注目していただきたいポイントを教えてください。
長くこのお仕事をさせていただいてますが、扉を開いた時に表と裏との両方がつながって一枚絵になる表紙を描いていただいたのははじめてです! あまりに発想がゴージャスで、いいのか本当に!って思いました。ぜひ一度、カバーを開いて表と裏を一枚にして見て下さい!
さらには、中扉もゴージャスなんです! 中扉に絵があるのも初めて! こちらも合わせて楽しんで下さい。
かわい有美子先生ご本人に関する質問です。
ペンネームの由来を教えてください。
デビュー時、ペンネームを何にしようかな、担当さん、いつになったら聞いてくれるのかな…とわくわくしていたら、次号予告に旧姓の本名がひらがなで載っていてびっくりしました。変えるタイミングがわからず、そのままに…。
一度、ひどいスランプになった時に験かつぎで下だけ漢字にしてます。
小説を書き始めたきっかけを教えてください。また、最初に書かれたのはどんな物語だったのでしょうか?
高校の時、友人と交換型の共作で。当時はまっていた、英国パブリックスクールものです。とにかく重くて、暗くて、救いのない痛い話でした。
今までで特に影響を受けた作品(小説、映画、音楽などなんでも)がありましたら教えてください。
小説は氷室冴子さんの「クララ白書」「アグネス白書」。映画は「アナザー・カントリー(ただし、名作かといわれると個人的には微妙)」。両者共に多分、出会ってなかったらこの仕事はしてなかったんじゃないかと思います。
かわい先生流のご執筆中のリフレッシュ方法はありますか?
極力、頭の中を空っぽにすること…なので、外に出かけたり、電車乗ったり、映画や動画見てたり。最近では音楽をかけながら、黙々とペーパークラフトのパーツを切り出すのにはまってます。本当に切ることしか考えないのでいいです。
かわい先生の一番好きな攻・受のタイプ、シチュエーションを教えてください。
攻×攻は悲願。攻は最近、案外ヘタレ系が好きなのかも…と思うようになりました。受はけなげ好きだと思われてるようなんですけど、意外にビッチでも、天然ちゃんでも男前でも女王様型でも好きです。
かわい先生にとって『萌え』とはなにか教えてください。
自分の萌えポイントはかなりニッチだということがわかってきたので、人様にえらそうに語れるようなことは何も…。でも、萌えの波が来た時って、嬉しいですよね。
最後に、読者のみなさまへメッセージをお願いいたします。
ここまで目を通していただいてありがとうございます。
これ、前もやったよな…と思うのが嫌なので、話があまりパターン化しないようにキャラや設定、文章など、色々変えて楽しみながら書いています。
また、違う方向にタマを打ってきたなーなんて、一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。ご感想などありましたら、また教えて下さい。