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作品紹介
 
如月 静
石原 理

アルバイトで家族の生活を支えている坂下満は、父が夜逃げを依頼し断られた山崎の事務所を訪ねた。
一目でキケンな男だと分かる雰囲気を身に纏う山崎にすげなく追い返されてしまう満。けれど、なんとか依頼を引き受けさせるために事務所に通う内に山崎の優しさに気づく。
次第に山崎に会うこと自体が目的になっていたある日「……おまえなら信用してもいい」と山崎に告げられ……!? 
グレーゾーンで生きる夜逃げ屋とのスリリングな恋!


著者インタビュー
 

2010年9月30日発売『夜逃げマニュアル』で待望のノベルスデビューおめでとうございます! いまのご心境はいかがですか?

ありがとうございます。なかなか実感が湧かなかったんですけれど、最近ようやく「本当なんだなぁ」と思えるようになってきました。嘘みたいな幸運で、「神様、仏様、みんなみんなありがとう!」の気分です。

初ノベルスとなる『夜逃げマニュアル』執筆中の大変だったこと、楽しかったことなど思い出深いエピソードがありましたら教えてください。

大変だったのは、締め切りに合わせて日程通りに進めることですね。今まで好きに書いてきたので…。楽しかったのは担当さまとのお電話です。自分の書くモノについて、誰かとこんなに萌え話ができるなんて思ってもみなかった! 話すことでどんどん世界が膨らんでいくのが本当に楽しかったです。

極道のように完全な黒ではなく、会社員のように完全な白でもない、夜逃げ屋というグレーゾーンに生きる山崎を攻に選んだ理由をうかがえますか?

満は表の世界(白)で生きていて、それが家族の借金のせいで少しだけ裏の世界(黒)を向いてしまった。そんな満を踏みとどまらせるのに、同じ白の人だとなんだか偽善くさい気がして……。かといって黒の人が満を本気で踏みとどまらせようとしたら、自分とは真逆の世界へ満を押し戻す(遠ざける)ことになって恋愛は難しそう。その狭間で両方を見ていて、どちらが正しいとも悪いとも思っていない人がいいな……というようなことを漠然と考えて決めました。

夜逃げ以外の仕事も請け負う山崎ですが、いままでに請けた仕事にはどんなものがありますか? たとえばこの仕事は二度とやりたくない、この仕事は面白かったなど、印象的な仕事の設定があれば教えてください。

二度とやりたくない仕事は、ユカへ頼んだ仕事の交換条件で、お水系の女性の間男を演じたこと。浮気が絶えない女性の恋人を焦らすのが目的のはずが、女性が本気で山崎に熱を上げてしまった。女性の恋人が襲いかかってきて乱闘にはなるし、勘違いした女性はストーカーまがいにつきまとう、しかも交換条件として引き受けたので実質報酬はゼロ。 とても割りに合わないうえ、収拾をつけるのに死ぬほど苦労したので二度とやりたくないそうです(笑)

同時収録『返済パニック』ラストシーンをみて、満と山崎の将来の力関係を感じ取ることができました。それぞれ自分の恋人へひとこと伝えるとしたらどんな言葉ですか?

山崎→満:「ずっと守ってみせる」
満→山崎:「老後の世話は任せろ!」
同じ『ずっと(一生)』を考える時、きっと山崎より満の方が現実的(笑)

『夜逃げマニュアル』で如月先生おすすめのシーンを教えてください!

無茶を言った満に山崎がお仕置きするシーン。山崎の一番格好いい場面だと思っています。

山崎事務所の奥を改造して寝床にするスタイルに憧れます。映画や小説など参考にした作品があるのですか?

憧れるんですか…? モデルは特にないです。山崎の立場で「巣作り」をしたら、自然とああなりました。ちょっと自分の願望かも?

執筆するときにこれは欠かせない! という音楽、飲み物、嗜好品がありましたら教えてください。

煙草とカフェオレ。増税で値上げされようとも煙草は欠かせません! そこにチョコレートがあればなお良し。ちなみにカフェオレは激甘です。昔友人に「オマエの味覚はおかしい!」と言われました…。

この設定は萌える!!というキャラクター、関係性はありますか?

歳の差(年上×年下)、ヘタレ攻め、不器用受け。完璧な人より欠けた部分や未熟な部分がある人に魅かれるので、ギャップ萌えがあるかも。あと、ひっそりと眼鏡が好きです。

最後に読者のみなさんへメッセージをお願いいたします。

初の単行本です。いろんな方の手を借りて、自分一人で書いた当初よりずっとずっと魅力的な話に仕上がったと思っています。どうか楽しんでいただけますように。今後もがんばりますのでよろしくお願いします!

人物
 
18〜19歳。大きな吊り目に明るい髪、低めの身長。
元気な子猫のような印象。
父親の借金のため大学進学を諦め、アルバイトをして生活を支えている。
32歳。切れ長の目に薄い唇。大きめの口。
野性的で危険な雰囲気の男。
満の父親からの夜逃げ依頼を断った。

ショートストーリー
 
 発端は、インスタント味噌汁だった。  
いつものコンビニ弁当の横にマグカップに入ったそれを見つけた時、山崎は特になにも思わず手をつけた。  
大して美味いものでもないが、食事時に汁物が欲しくなる時はある。  
今日はたまたま満がそんな気分だったのだろうと思ったのだが、山崎と同時にカップに口をつけた満が一口飲むなり叫んだ。
「まっず! なにこれっ」  
満が本気で嫌そうな顔をしていることに驚き、思わず満のカップを覗き込む。  
見た目は自分の手にあるマグカップの中身と同じ、なんの変哲もない味噌汁だ。  
なにかおかしかったのだろうかと、満の手からマグカップを取り上げ少しだけ飲んでみたが、味も匂いも自分のものと変わらない。
「なにって、別に変な味はしないぞ?」
「変な味だよっ。こんな不味い味噌汁ありえねぇ!」…………
   

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リンク
 
◆如月 静先生オフィシャルサイト「Romantist」
Unit Vanilla 3rd Project『アーサーズ・ガーディアン』特設ページUnit Vanilla 3rd Project『アーサーズ・ガーディアン』特設ページ
◆石原 理オフィシャルサイト「denpajack.net」
Unit Vanilla 3rd Project『アーサーズ・ガーディアン』特設ページUnit Vanilla 3rd Project『アーサーズ・ガーディアン』特設ページ