蒔田恒平の身体の最奥には花びらのような傷痕がある。
高校3年生の冬、ヤクザ達に蹂躙された時の刻印だ。
だがその時の記憶は断片的に霞がかっていて思い出せない。
以来極度の潔癖症となり、恋愛も結婚もすべて諦めた。
それから十数年、恒平は高校時代想いを寄せていた弓道部の後輩・西条司と再会する。
司の妻の葬儀の場で、対立する派閥の秘書と議員として。
そして司は恒平に囁く。俺はあの日あなたが何をされたのか、すべてを知っていると──。
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