大学の研究室で建築史学を専攻する藤森は、
ドイツ人のユリアン・ルーデンドルフ公が所有する旧蜂ヶ谷伯爵邸へ学術調査に訪れた。
深い森に囲まれた古い館に住むのは、寡黙な大男のユリアンと二匹の猫、それと無愛想な召使いたち。
山奥すぎて携帯は圏外だし、テレビもラジオもなく、敷地は広大で出かけることもできない。
そんな閉ざされた空間に初めは戸惑っていたが、
無骨な熊男だと思っていたユリアンの別の顔を知り、藤森は俄然楽しくなってくる。
おまけに朝靄のなか森を走る神秘的な獣を見かけて──!?
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