インタビュー

 

2010年7月30日発売の『交渉人は嵌められる』『交渉人は 諦めない』で、『交渉人』シリーズも5作目となりました。シリーズ第一作目『交渉人は黙らない』(2007年発売)の段階で、すでにシリーズ全体の構成はできていたのでしょうか?

いえ、ぜんぜん(笑)
うすらぼんやりしたものはあったような気もしますが、構成などと呼べるようなシロモノではなかったですね。
そもそもシリーズになるって、決まっていなかったような気もする……。
いずれにしても、先のことを詳細に決めていても、途中でキャラクターが勝手に動いたりするとあまり意味がないのです。
キャラはある程度かっちり決めますが、ほかは流れに任せますね。

また3年半という時間を経て、芽吹や兵頭というキャラクターが榎田先生の中で変わったところ変わらなかったところがありましたら教えてください。

ほぼ変わらないです。
彼らの世界ではまだ1年くらいしか経ってませんし。
芽吹がいくらか自分の気持ちに素直になったかな、というくらい?

交渉人を主人公にしようと思われたきっかけはなんですか?

担当さんが「検事とか弁護士はどううですか」と言ったような気が……違いましたっけ?(笑)
で、「両方とも、(BL小説では)結構あるよなあ」と思い、でも世相の出る素材を使うのは好きなので、交渉人はどうだろうと考えたのです。警察ではなく、民間で活躍する交渉人にしようというのは、最初の段階から決まっていました。
お相手をヤクザにするのは、少しあとから決まったと記憶しています。私の場合、最初に受のキャラクターが決まることが多いですね。ほとんどそうなんじゃないかな。

『芽吹ネゴオフィス』は両国に事務所があり、兵頭の事務所は錦 糸町です。作品の舞台のベースを都心でなく両国と錦糸町にした理由を教えていただけますか?

自分になじみのある街だからです。
あとがきにも書きましたが、祖母の家が両国にありまして。かつては商店だったので、昔はお相撲さんも買い物に来たそうです。また、自分も小さい頃に地元のお祭りに参加して、子供山車を引いたりしたんですね。記憶はほとんどないのですが、写真が残っています。そんな郷愁めいたものがある街です。
錦糸町もね、ときどき焼き肉を食べに行ったりしていた(笑)

『交渉人は黙らない』で芽吹が事務所が両国にある利点として、隅田川で夕日に向かってバカヤロウと叫べることとありました。榎田先生が『バカヤロウ』と叫びたくなるときばあるとすれば、どんな方法でその原因を解消しますか?

あんまり叫びたくなる状況に陥らないです。数年に一度くらいあるかな……そしてそのときは叫びたいままに叫びます。さすがに家の中でだけど。
信頼できる人に話して、一緒に叫んでもらったりね(笑)

作中、芽吹のオヤジギャグが光ってます! おやじギャグのストックがあるのでしょうか?  

ストックっていうか……普通に出てきます。
私の中には小さなオヤジが住んでいるのですよ。頭にネクタイを巻いて、やきとりの包みを持って、千鳥足で歩いているような。
オヤジギャグ(というか、ダジャレ)はくだらないほどに価値があるというのが持論です。
オヤジギャグ入れすぎて、担当さんに「少し減らしませんか」と言われたことは忘れていないさ(笑)

七五三野は人気がありますが、彼に男の恋人ができる可能性は……?

いや〜、ないでしょう、あの人は。
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