さて、今度は英田サキ先生のインタビューです。
『エス』シリーズを書き終えられてどのようなご感想をお持ちなのでしょうか?
いろいろ質問してみました。
Q. ついに『エス』シリーズが完結となりました。『エス 残光』を書き終えられたとき、どんな気持ちになりましたか?
とりあえず、ホッとしました。ちゃんと終わらせることができるか、とても不安でしたので。
Q. 『エス 残光』のサブタイトル「残光」はどのようなイメージでつけられたのですか?
残光は夕日の光や消え残っている光を指す単語ですが、「最後に希望の光が残った」という意味も込めて「残光」にしました。
Q. ずばりエスのテーマとはなんでしょうか?
書いている時は特に考えていませんでしたが、終わってから振り返ると「対極にあるもの」が常にテーマになっていた気がします。相反するものがぶつかり合うことで、物語が進んでいったというか。刑事とヤクザ、私情と責務、決意と迷い、愛と憎悪、罪と罰、生と死、等々。
Q. 登場人物にモデルはいますか?
どのキャラも特にいませんが、椎葉という名前は知人から拝借しました。
Q. 刑事とヤクザのお話ですが、作品を書くうえで難しいと感じられた点はありますか?
刑事とヤクザなので馴れ合いすぎてはいけないけど、恋愛ものとしてふたりの関係性を徐々に深めていかなくてはいけない、そのさじ加減が難しかったです。
Q. いろいろな展開、ラストシーンを考えられたかと思います。 どんなふうにラストを決定されたのか、どんなラストを考えていたのか、ぜひ教えてください。
二冊目の「咬痕」で、刑事とエスの繋がりの危うさを強調してしまったので、そこを軸にしなくてはないけないと思い、最初は椎葉が宗近を守るために犯罪を犯し、逮捕されてしまうという流れも考えていました。ですが全四冊ということが決まったので、残り二冊で締められる内容にしなくては、と今回のラストになりました。由佳里の事件を絡ませるかどうかも、大きなポイントでした。
Q. ふたりは新たな関係を築いていくかと思いますが、その後の宗近の設定は決めていますか?
宗近はもともとヤクザになりたくてなった男ではないので、今後は小さな会社でも経営しながら、気楽な堅気生活を送るのではないかと思います。なんとなく居住を海外に移すような気もしますが、そうなると椎葉とは遠距離恋愛になるし、どうなんだろう(笑)
Q. シリーズ中、やっておけばよかった! というシーンはありますか?
書いている時はあれもこれもと思ったりしましたが、終わってみると書きたいことはすべて書けた気がします。
Q. 反対に、やらなくてよかった…というシーンはありますか?
「裂罅」のあとがきにも書きましたが、鹿目と椎葉の××シーン。担当さま、止めてくれてありがとう……(笑)あと篠塚が椎葉にねちっこく迫り、「義兄さん、やめてください……っ」というピンク妄想もあったりしたのですが、これをやっていればまったく違ったお話になっていたと思うので、書かなくて正解でした。
Q. 書ききれなかった裏設定や、やむおえず削ったエピソードなどはありますか?
篠塚の裏理事官としての冷徹な顔は、ちょっと書いてみたい気がしました。椎葉には優しい篠塚ですが、部下からは氷のような男として恐れられているのです(笑)あと、宗近が椎葉を連れて、関東侠和会の理事長に会いに行くというエピソードもあったのですが、「じいさん、俺の嫁さんを紹介するぜ」「でかした、奎吾!」みたいな雰囲気になりそうなのでカットしました。
Q. 「エス」シリーズにはかかせない奈良千春先生の数々のイラストの中で、特にお気に入りの一枚があったら教えて下さい。
本当にどれも素敵なので一枚なんてとても選べませんが、一冊目のベッドシーンでの宗近のお尻は最高でした。あんなセクシーな攻めのお尻は初めて見たかも(笑)
Q. 『エス』の発売が2005年2月、『エス 残光』の発売が2006年10月になります。その間に、作品を作るうえで、英田先生のなかで変わったことはありますか?
商業BLはこうあるべき、こうしなくてはいけない、という固定概念があったのですが、「エス」を書いて、そして読者さまに受け入れられたことで、いろんなものに挑戦する勇気が得られました。
Q. 最終話での製作秘話を教えて下さい。
椎葉も苦しみましたが、私もとても苦しかったです。スケジュールが押してしまい、担当さまをお待たせしているのが苦しくて苦しくて、胃に穴が空きそうでした。
Q. 読者の皆様にメッセージをお願いいたします。
最後までのおつき合い、ありがとうございました。こうやって四冊目まで書くことができたのも、応援してくださった皆さまのおかげです。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
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