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作品紹介
木下けい子

十年間片想いをしていた和久井保孝に、ようやく告白した陸郎だったが、
親友としての時間が長すぎて、なかなか甘い雰囲気にはなれない。
俺が陸郎のこと好きにならなかったら終わりだろう──
親友を失いそうで悩む保孝の気持ちなどかまわず、
陸郎は積極的にアピールしていくのだが……


木下けい子

数年前、宙はこの世で一番大事で特別な存在だった
哲弥と別れることを選んだ。
守られるだけの自分から変わるために、
哲弥に哲弥自身を大事にしてもらうために。
未熟な子供から大人になり、
街で歩いていても哲弥に似た人をつい探してしまう。
もし、もしもう一度てっちゃんと逢えたら──
そんなとき、偶然ふたりは擦れ違い!?
幾つもの夜を越えたふたりの想いは……


著者インタビュー


12月27日に『幾千の夜 最終夜』『今宵おまえと 二章』が二冊同時発売になります。
どちらも続きが気になっていた方は多いはず! 今のお気持ちを教えてください。

お待たせいたしました。昨年に引き続き2冊同時発刊となって、うれしいです。


まずは『幾千の夜』について聞かせてください。今回、ついに最終夜を迎えました。
木下先生の作品の中でも特に長いおつきあいになった作品ではないかと思います。
哲弥と宙、ふたりの物語を描き終えてのご感想を教えてください。

自分では長く描いていた実感が全然ないんです。
あ、もう3年ぐらい描いてる計算になるのかーと終わってからぼんやり思いました。


『幾千の夜 第一夜』でこそ幼く頼りなかった宙でしたが、しっかりした大人に成長しました。
反面、てっちゃんこと哲弥はかなりへたれてしまったような…… 
執筆する上で、ふたりの変化はどう考えていらっしゃいましたか?

宙の変化は織り込み済みだったのですが、てっちゃんは…ちょっと予定よりへたれてしまったような気がするような、そうでもないような(笑)。


幼なじみから恋人になったふたりですが、これをやっておけばよかった! 
というエピソードや設定はありますか?

そうですねえ、てっちゃんの友達を一応自分の頭の中だけで用意はしていたのに、出すタイミングがなかったのが残念かなと思います。おかげで、てっちゃん友達がいない人みたいになってしまって、申し訳ない(笑)。


『幾千のキス』のラストのほうで哲弥のセリフに『つまんねぇ せっかく…なのに』というものがありますが、『…』の部分、気になります! こっそり教えていただけないでしょうか?

「せっかくふたりの朝なのに」という恥ずかしすぎるいちゃいちゃ台詞でした。 自主規制してしまったら、担当さんにも確認されて、結局恥ずかしかったというオチで(笑)。


『幾千の夜』のなかでオススメシーンがありましたら、ぜひ教えてください。

ラスト近くの駅のシーンです。
あまり細かくプロットを立てない方なのですが、そこは最初お話を考えたときから、こうしようと絵まで決めていた唯一の(笑)シーンなので、読んで下さった方にも気に入っていただければと思います。


今度は『今宵おまえと』について教えてください。
この作品では働く男たちの姿がとてもリアルに描かれていますが、仕事中の男性の魅力とはどんなところだと思いますか?

ちょっとくたびれて、油断してるところとか、個人的には好きです。
休憩室でうっかり寝ちゃってる人とか。
あ、働いてる所じゃなかった(笑)!!


カバーのコメントでフリーになってはや○年とありましたが、漫画を描く前はどんなお仕事をされていたのですか?

デザインとか販促とかやってる会社で、百貨店に出向してPOPを主に装飾などをやってました。なので、保孝のやっているお仕事の方には当時私自身が大変お世話になっていました。会社員当時は当時で多少ぼやきつつも楽しく仕事をしていましたので、今とそんなに変わりがないです。フリーになって良かったことは、朝目覚ましをかけなくても良くなったことかなと思っていたのですが、相変わらずだいたい7時ごろ起床してますので、変わってない! みたいな(笑)。休みが自分さえ頑張れば自由に取れるのと、平日にお買物ができることが良いことですね。


陸郎も保孝も、どちらもモテそうなタイプですが、木下先生がオススメするとすればどちらですか?

保孝です。
一見陸郎の方が優しくてマメで良さそうなんですが、案外細かそうなので、保孝の方が扱いやすいと思います。でもちょっと軽いですね(笑)。


密かに、保孝の後輩・加藤くんもとてもかっこいいと思うのですが、彼はゲイなのでしょうか? 
それとも、加藤くんにとって保孝が特別なんでしょうか?

加藤君は女子が駄目じゃないゲイぐらいの気持ちで描いています。
保孝より3つ下で出会ったときからの一目ぼれ的な感じ?


『今宵おまえと』は現在HertZにて絶賛連載中です! 
ふたりの関係は友情で終わるのか、はたまた恋に発展するのか…この先の展開をこっそり教えていただけますか?

もちろん恋に発展していきます。でももうちょっとかかります。


今宵おまえと 二章』のなかでオススメシーンがありましたら、ぜひ教えてください。

西急百貨店の前で立ちすくむ陸郎が、おすすめするシーンかどうか迷いますが、個人的に気に入ってます。


木下先生の作品を拝見していますと、攻めの傾向として「ヘタレ要素」があるように思えるのですが……

自分では自信満々に今度はへたれてない! 
と描いたつもりの攻の人たちがみんなへたれ認定されていくので、好きとかそういうのを超越してるんじゃないかと最近思います(笑)。


『幾千の夜』ではてっちゃんやリョーちんとの食事シーン、『今宵おまえと』でも料理のシーンがあります。
木下先生は料理はお好きですか?

料理は好きです。特に得意でもないんですけど。
料理シーンが多いのは、男子二人が会う自然なシチュエーションだからだと思います。己のワンパターンに今ちょっと反省しました(苦笑)。好きな料理は食いしん坊なので、いっぱいあるんですが、ひとつだと、ネギのみそ汁です。お揚げに刻んだおネギがどばーっと入っているやつが大好きです。


2012年2月頃発売予定の電子書籍のアンソロジーiHertZではサムネイルとショート漫画をご執筆いただきました。
漫画は商業誌ではなかなかない作品になったように思うのですが、木下先生のなかでボツ設定というのはありますか?

担当さんになんでもいいですよと言っていただいたので、わーいとばかりにネームを提出させていただいたら、本当に好きに描かれましたねと言われてしまいました(笑)。恋の終わりは恋の始まりというのが真のテーマなんですけど、なかなかお仕事では難しいと思うので、機会をいただけてうれしいです。私自身のNGネタというのはあて馬同士が最後くっつくです。ボツというより自分の中でやっちゃいけないネタです。


『幾千の夜』が終わり、2012年1月発売のCRAFTでは新連載がスタートします。
どんな作品になりそうか、教えてください。

男三人暮らしの少し静かなお話になる予定です。
今度は少し大人の恋を描ければと思っています。
攻がへたれない!  予定です。


2011年も残りわずかとなりました。今年はどんな一年でしたか? 
そして、来年はどんな年にしたいですか?

今年は3月11日の大きな震災で本当にたくさんの方がいろんな大変な思いをされたと思います。来年は皆様がひとつでも今年より良いことが多い年になればいいなと思いますし、私もそうしたいです。それが一番の抱負です。あとは整理整頓!、段取り大事! で来年こそやっていきたいです。(5、6年同じ目標を掲げ続けて負けっぱなしという…)


読者のみなさまにメッセージをお願いいたします。

一年ぶりに2冊の続きをお届けできることになりました。
楽しんで読んでいただければ嬉しいです。
年末年始の忙しい時ですが、ちょっとした息抜きになれば幸いです。

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ここでコミックス『今宵おまえと 二章』の続きをこっそり公開します…☆
※ネタバレの可能性がございますのでコミックスをお読みいただいてからご覧になることをおすすめいたします。
そして! そして!
インタビューでもちらっとお話がありました通り、木下先生のCRAFT新連載が決定いたしました!
サイトをご覧のみなさまだけに、一足先に届きましたキャラクターラフをお見せしちゃいます♪

またまたクセの強そうな魅力あるキャラクターが活躍の予感!
気になる本編は1月20日発売予定の『CRAFT vol.51』から連載スタートです☆
どうぞお楽しみに♪

既刊一覧

西島陸郎にはずっと好きな相手がいた。十年来のつきあいになる、親友の和久井保孝だ。男同士だから、親友だから、いつかそのうち可愛いお嫁さんをもらって幸せな家庭を築くはずだから――― そう思って、自分の気持ちは押し殺してきた。それなのに、後輩の泣き落としに流され、男と寝たと飲みの席で保孝本人から聞かされる。それなら相手は自分でもいいはずだ、陸郎は保考を自分のものにする決意をするのだが!?

厳しい父親のもと育った宙には、とても大切な人がいた。隣の家に住む年上の幼なじみ、哲弥だ。嬉しいことがあった日も、悲しいことがあった日も、どんなときもそばにいてくれた。でも、宙が成長するにつれ、ふたりの時間は変わり始める。宙が哲弥を意識し始めたとき、哲弥もまた宙に抱いている欲望に気づいてしまう… 宙は俺が守る、そう誓ったはずなのに── 甘くせつない恋の物語!

「俺 ずっとてっちゃんと一緒にいたい」家を飛び出して、幼なじみの哲弥と暮らし始めた宙。大好きだった哲弥と想いがつうじ、自然と抱き合うようになる。大好きなのに、一緒にいたいのに、でも…… まだ大人になりきれないふたりは強すぎる想いにふりまわされて―…