ここで再び、榎田先生に作品についてお聞きしてみました。
読者さんへのメッセージもありますよ。
――デビューされてすでに作品は70冊を超えます。9年前と現在で、作家としての意識は変化されましたか?
あまり変わっていないと思います。
業界そのものはいろいろ変遷を遂げているのだと思いますが、自分のスタンスは同じですね。自分の書きたいものを、受け入れて貰える形で提供するというのが基本姿勢ですが、たぶんこれからも変わらないと思います。
――作品を作るうえで、大切にしていることを教えてください。
うーん、なんだろう……。楽しんで書くことかな?
あとはひとりよがりにならないように注意することでしょうか。このへんは編集さんが指摘してくれるので、助かります。
――過去のご自分の作品を読み返したりはされますか?
あまり読み返しません。シリーズものは続きを書く前に前作を読み返したりはしますが。
読むなら、自分の作品より人の作品のほうが楽しいですし(笑)
――これまでの作品を振り返ってみますと、普通のサラリーマン・弁護人・運び屋・中世ヨーロッパの騎士などなど実に様々ですが、一番楽しかった設定はどれでしょうか? 逆に、書くのに苦労した設定はありますか?
みんな楽しかったです。基本的に自分が興味のあるもの、好きなものをモチーフに持ってくるので苦労することはほぼありません。
――たくさんの作品を執筆なさってきましたが、書き続けているうちにご自分の癖、好みなどあらためて自覚されたものはありますか?
世話焼きの攻めが好きなんだなあ、と思います。
女の子書くの好きなんだなあ、というのもあります。そして食べ物の描写も好きですね。だって人間て、一日三回ゴハン食べるもんねえ。
――作品のネタ探しはどのようにされるのでしょうか?
自ら探すというよりは、日々の中でふと見つける感じです。
もちろん映画や舞台などに触発されることもあります。最近は歌舞伎・狂言・バレエをよく見るので、いつかそちらの世界も題材にしてみたいですね。
――思うように作品が進まないときはどうしますか?
マンガ読んで寝ます。眠ると一度リセットされて、立ち直れることが多いので。
初読の漫画だとむしろ頭が冴えてしまうので、もう何度も読んだ作品がいいです。
――作品を一本作り出すうえで、最も好きな作業・苦手な作業・気をつけていることを教えてください。
好きな作業……ラストシーンを書くこと。あとプロット作りも楽しいです。
苦手な作業……校正。嫌いではないのですが、自分の間違いを見つけるのはド下手。
気をつけていること……文章の読みやすさとリズム感、かな?
――「作家になりたい!」と志している方にひとことだけアドバイスをするとしたら、何と伝えますか?
私も知らなかったのですが、税務上の区分では作家ってサービス業なのです。
人を楽しませることが好きなら向いていると思います。頑張ってください。
――作家として、これから挑戦してみたいことはありますか?
書きたいものをすべて書くのは無理だとわかっていても、できるだけ多くの挑戦をしていきたいと思っています。ジャンルに拘らないと同時に、もちろんBLも大事に書き続けたいです。
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